スローな日記

気ままに書きます(ほぼ飲み日記)

一瞬の光

白石一文のデビュー作。比較的評価が高かったので読んでみた。

橋田浩介は一流企業に勤めるエリートサラリーマン。38歳という異例の若さで人事課長に抜擢され、社長派の中核として忙しい毎日を送っていた。そんなある日、彼はトラウマを抱えた短大生の香折と出会い、その陰うつな過去と傷ついた魂に心を動かされ、彼女から目が離せなくなる。派閥間の争いや陰謀、信じていた人の裏切りですべてを失う中、浩介は香折の中に家族や恋人を超えた愛の形を見出していく。

この本で展開される世界、例えば会社内の派閥抗争についても「ありそうでない」というものに感じた。物語全体についてもずっとその印象が拭えなかったので、どうも素直に読めなかった。
簡単に自分なりに言ってしまえば、「平和で長く続く幸せ」と「一瞬で刹那的だが生きている実感を強く感じる幸せ」、このどちらが本来重要なのか、を問いかけるような内容である。それでも、もう少し現実に根ざした物語であればもう少し深く考えるのだが、どうも自分には現実感が湧かない。悪くは無い小説だとは思うけど、普通かな。

一瞬の光